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鉄をめぐる民俗
第17回 「埋蔵金伝説」
新年おめでとうございます。今年が幸せな年になるように願って埋蔵金の話。
財宝が埋められていると伝えられる埋蔵金伝説の地は全国各地に多くある。岡山県内だけでも100ヵ所以上もある。埋められた財宝は、金鶏、金銀財宝などの黄金、朱などが多い。「黄金千駄朱千駄」「漆千杯、朱千杯、かね千万貫」など、朱と黄金が一緒に埋められている伝承もある。
そして埋蔵場所を、年越し(大晦日の夜から元日の未明)に金の鶏が鳴いて知らせるという金鶏伝説が多い。金鶏以外では、青入道、大蛇、一ツ目小僧、金色トカゲなどが出るというものがある。
このように見ると、黄金千駄(約135トン)、かね千万貫(約3万8000トン)というのは砂鉄または鋼ではないかと考えられる。そして埋蔵場所を知らせる金鶏もそうだし、特に1ツ目小僧は金屋子神の姿であり、タタラ製鉄と深い関連性を示すといえよう。
長者が財宝を埋めさせた者を、場所の発覚をおそれて殺したという七人ミサキの伝説地は、タタラ製鉄の盛んだった地域であり、内容もタタラ長者の財宝を思わせる。
このように埋蔵金伝説には、タタラ製鉄と関連するものがいくつも含まれているようだ。
(立石 憲利)