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ご挨拶
令和元年9月、三上前会長より引継ぎ全日本刀匠会会長に就任いたしました宮入小左衛門行平です。
これまで歴任されて来られました会長、また会員の皆様のご努力により当会が40年以上に渡って運営されてきましたことに敬意を表しますと共に、引き継いだ重さを実感いたしているところです。またご指導をいただいております文化庁等関係機関、ご支援いただいております各法人等の団体、刀職者の皆様、愛刀家の皆様、これら多くの皆様のお支えがあったからこそ今日まで継続できましたことを思い、改めて厚く御礼申し上げます次第です。
私が刀鍛冶として独立いたしましたのは昭和58年のこと、その直後よりまずは書記として、以後理事、常務理事、副会長として今日までほぼ継続して当会の運営に関わってまいりました。その中でもこの10年間の私たちの周辺は大きく変動したことを実感しています。
私たちは10年ほど前、訳あって大きな傘の下からの独立を選択いたしました。以来、会の運営、特に事業展開、行政との関わりなど初めて経験することばかりでしたが、独自に成し得たことの意義は大変大きなものであったと思います。「職人は黙って仕事をしていればいいんだ」とはどこかで聞いた言葉ですが、もはやそのような時代ではないとも言えます。
特に「お守り刀展覧会」「ヱヴァンゲリヲンと日本刀展」などは事業として成功した例ですが、仮に独立を果たしていなければ、そのような事業さえ可能であったのかと思えるほどです。
幸いなことに、刀鍛冶のことは刀鍛冶で、というのが当たり前のように捉える若い会員の皆様が多数見受けられますことを大変心強く思います。今後も魅力的な事業展開が期待できます。
現在、当会員数は200名を切り、年を追うごとに減少傾向にあります。私が入会した30数年前は300人以上であったと記憶しております。現在も年2回、入門支援のための研修会を開催し成果が見られますが、更なる後継者確保と育成が急務ともいえます。各種刀職者の減少、木炭などの原料供給の不安など問題も山積です。
昨今の日本刀ブームは大変うれしい限りで、それに関連して多くの会員も事業、イベントなどに関わり活性感もなくもありませんが、このブームを一瞬の突風で終わらせることになりませぬよう、私たちは目の前の様々な課題に地道に取り組み、日本刀文化の継承に寄与して行く所存です。
引き続きまして多くの皆様のご支援、ご理解を衷心よりお願い申し上げます次第です。