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鉄をめぐる民俗
第39回 「鉄は熱いうちに」
「鉄は熱いうちに鍛えよ」という。イギリスのことわざからきたもので、鉄は熱して鍛えるように、人も純粋な気持ちを失わないうちに鍛錬すべきだという意味。
ことわざには、鉄や刀などの刃物に関するものが結構ある。
「流れる水は腐らず使う鍬(鎌)はさびない」。ことわざの通りで、何事も活動していると停滞や腐敗は生じないという意味。農家で鍬がさびているようでは1人前といわれない。
「左鎌に野を見せな」昔から左利きは器用で手が立つと言われた。左甚五郎は、そのよい例だ。だから左利きに草刈りをさせると早いという意味。
「木鎌とサスがあれば食える」。木鎌は薪を作るのに用いる鎌。サスはトンギリ棒。サス棒などといい、両方がとがった担ぎ棒で、薪や草などにつき刺して担いで運ぶ道具。昔は、山で薪を作り、サスで運んで売れば最低限の生活はできるというもの。健康なら食うだけは食えるというような意味。
(立石 憲利)