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鉄をめぐる民俗
第46回 唱歌「村の鍛冶屋」2
「村の鍛冶屋」1の二番の歌詞が、学校で習ったものと違うと電話があった。
「あるじは名高い働き者よ、早起き早寝の病知らず、長年鍛えた自慢の腕で、打ち出す鋤鍬(すきくわ)心こもる」だったと。
そう言われてみると、私もこのように習ったようだと思い出した。当初の歌と戦後の歌とでは歌詞が異なっているのだ。そして、三番、四番も消えたのだ。
三番は「刀はうたねど、大鎌・小鎌、長鍬に作鍬、鋤よ、鉈よ、平和のうち物休まずうちて、日毎に戦う懶惰(らいだ)の敵と」となっている。
刀は武器であり、現在のような美術刀剣ではなかった。村の鍛冶屋は、平和の打ち物は打つが、武器は打たない。しかし、懶惰(なまけ心)という敵と毎日戦っているぞと、鍛冶屋の心意気をうたっている。
大鎌、子鎌、長鍬、鋤、鉈と農具が並んでいるが、全部分かる人は少なくなった。馬鍬や鋤はトラクターがとってかわり、姿を消した。
(立石 憲利)