鉄をめぐる民俗

第32回 「鉄の玉2」

 4月17日付「朝日新聞」に島根県松江市の松江藩家老屋敷から鉄球が木箱に入った状態で見つかったという記事があった。鉄球は径8センチで、箱の文字から土の球とともに入っていたと考えられ、土のかたまりもあったと。松江市教委によると、鉄球の出土例は和歌山城天守台など全国で5例。水野正好・大阪府文化財センターのコメントは「家の気運を上げるためのまじないに使われたとみられる」と。
 このホームページで昨年秋「鉄の玉」と題して書いたことがある。そこで取り上げたものと同じものだ。全国5例のうちには岡山県の例は含まれていない。岡山県内だけですでに7例が判明しており、うち2例は瓶の中に入っていた。球の径は8~15センチで、松江で発見されたものより大きい。岡山県では「鉄球を瓶に入れて大黒柱の下にいれておくと家が栄える」といわれ、「気運を上げる」と同じことだろう。
 総社市では床柱の下から見つかった土球がある。鉄球と同じようなものと考えられる。松江の鉄球と土球と一緒に入っていたものとの関連もおもしろそうだ。

(立石 憲利)


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