刀鍛冶になりたい方へ

刀鍛冶になるためには刀匠資格を有する刀鍛冶の下で5年以上の修業をし、文化庁主催の「美術刀剣刀匠技術保存研修会」を修了する必要があります。この研修会へは4年の修業を終えた者から参加が認められます。研修の内容は作刀一般の技術・知識で、基礎的な技量が無いと修了は容易ではありません。ほぼ実地試験の役割を果たしています。

刀鍛冶を目指す場合、最も重要で難しい事は入門先を探すことです。刀鍛冶の多くは経済的に恵まれておらず、また責任の重さから弟子を取ることに消極的な人がほとんどです。よほど運が良いか紹介者がいないと、なかなか弟子入りできないのが実情です。

入門先は刀鍛冶になりたい本人が探すのが一般的なため、これまで刀匠会として入門志望者への対応はしてきませんでした。しかし近年、弟子入りに関する問い合わせが多く寄せられるようになり、入門志望者向けに研修会を開催することになりました。刀鍛冶になることを考えている方は研修会へ参加してください。

この研修会では、刀鍛冶の仕事を体験でき、実際に修業中の方から話を聞くことが出来ます。研修会終了後希望し、講師の推薦があれば、刀鍛冶の下で数日間の体験入門をすることも出来ます。体験入門後、刀鍛冶になる気持ちに変わりがなければ入門先について具体的な相談に応じます。

入門までの流れ

① 美術刀剣作刀技術実地研修会へ参加
② 刀鍛冶へ体験入門
③ 入門先の紹介
④ 希望入門先との面接・交渉

美術刀剣作刀技術実地研修会について

研修会は例年5月下旬・10月中旬の開催予定となっております。
おおよそ1~2ヶ月ぐらい前から研修生の募集を開始いたします。刀匠会ホームページや公式Facebookにてご確認の上、お申し込みください。最新の開催情報は各種募集情報からご確認ください。

入門先を探すのは正直申し上げてかなり困難です。我々の方でも案内、紹介は致しますが、研修会参加によって入門が保証されるものではありません。入門の決定は、あくまでも入門先とご本人の交渉になります。

研修会に参加されるまでに、各刀鍛冶の作風や受賞歴などをご自身でお調べになり、「どのような作風が好きで作りたいか」「どの刀鍛冶の元で修業したいか」をお考えください。「どこでも良い」という考えでは取ってくれる刀鍛冶はいないでしょう。それぞれがホームページ・ブログ・SNSなどを用いて情報発信しております。就職活動や進学と同じようにお考えいただければと思います。

また、各種の展覧会で、各刀鍛冶の作品を鑑賞したり、展覧会イベントや鑑賞会などで、刀鍛冶に話をお聞きになる事をお勧め致します。展覧会・鑑賞会の開催情報・受賞歴などは、下記HPよりご確認ください。各展覧会では「図録」を出版しています。図録は「全日本刀匠会ネットショップ」でもご購入いただけます。ネットショップはこちら

◎おすすめの図録『平成の名刀・名工展』
平成の時代に活躍した刀匠を全国公募し選出された32人の、平成製作作品、経歴、弟子師匠の関係、受賞者名鑑あり。平成30年間全ての「新作名刀展」「お守り刀展覧会」「新作日本刀 研磨 外装 刀職技術展覧会」の受賞歴も掲載。

全日本刀匠会
(公財)日本刀文化振興協会
(公財)日本美術刀剣保存協会

よくある質問

Q.どうすれば刀鍛冶になれますか?

A.文化庁からの作刀承認を取得している刀鍛冶の元で5年以上の修業が必要です。最短で5年目に文化庁主催の「美術刀剣刀匠技術保存研修会」(例年、年1回5月開催)を修了し、5年間の修業を終了後に作刀承認が発行され、作刀が出来るようになります。研修会の内容は、8日間にわたる作刀一般の技術・知識で、基礎的な技量が無いと修了は容易ではありません。ほぼ実地試験の役割を果たしています。
また、「5年」というのは、概ね1日8時間・週5日を基準としています。例えば、週末のみの5年では認めらません。

『平成四年文部省令第三号 美術刀剣類製作承認規則』
第二条 文化庁長官は、製作しようとする刀剣類が美術品として価値のあるものであり、かつ、製作担当者が刀剣類の製作につき承認を受けたことのある刀匠(承認を受けた刀剣類の製作を担当したことのある刀匠を含む。)の下で引き続き五年以上技術の練磨に専念して刀剣類の製作担当者として十分な技術を習得したことを、その刀匠が証明し、かつ、登録審査委員二名以上が保証した者で、文化庁長官の行う刀剣類の製作に関する研修を受けたものである場合には、申請に係る刀剣類の製作を承認するものとする。

Q.刀鍛冶になりたいのですが、刀や刀鍛冶のことについてはよくわかりません。何を調べればよいでしょうか?

A.刀鍛冶には、それぞれに得意な流派や作風があります。刀についての基本的な勉強をして、どのような刀を作りたいか、どういう人のもとで修業をしたいか、を調べてください。
また、各種の展覧会で、各刀鍛冶の作品を鑑賞したり、展覧会イベントや鑑賞会などで、刀鍛冶に話をお聞きになる事をお勧め致します。展覧会・鑑賞会の開催情報・受賞歴などは、下記HPよりご確認ください。各展覧会では「図録」を出版しています。図録は「全日本刀匠会ネットショップ」でもご購入いただけます。ネットショップはこちら
全日本刀匠会
(公財)日本刀文化振興協会
(公財)日本美術刀剣保存協会

Q.修業中の費用はどのくらいかかりますか?

A.入門先により異なります。昔のような完全住み込み制度はほとんどありません。多くが近くにアパートなどを借りて通う形となっていますので、その場合は、家賃・食費などの生活費は自己負担です。また、材料費や施設使用料等が月3万円程度かかるところもあります。弟子入りは、就職ではなく技術を学ぶために専門学校に通う様なものだと考えてください。実際には、様々な作業を体験することで作刀技術を学んでいきます。授業料は不要の所がほとんどです。

Q.アルバイトをしながら修業できるところはありますか?

A.入門先により異なります。ただし、5年間を修業のみに専念しても、文化庁主催の研修会を修了するのは容易ではありません。アルバイトをしながらの修業となると、初めから時間的なハンディキャップを背負うことになります。目標は文化庁主催の研修会を修了することではなく、専業の刀鍛冶として自立する事です。相当の覚悟を持って、修業中にできる限り技術と知識を身につける事が必要です。

Q.刀鍛冶になるのは、中学卒業後など早い方が良いのでしょうか?

A.全日本刀匠会としては高校卒業をお勧めしています。また、現在活躍している刀鍛冶の中には、大学卒や社会人の経験者も多数いますので、大学卒業後や、社会経験をしてからでも遅くはありません。一方で「若さ」というのは、仕事の飲み込みの早さや体力面からみても、非常に重要な要素です。30歳を超えている方は、もう一度よく考え直した方が良いでしょう。

Q.女性は刀鍛冶になれますか?

A.女性が制度的に刀鍛冶になれないわけではありません。ただし、体力的にも大変厳しく、火傷などの怪我がある事、施設の問題などがあり、女性を弟子として受け入れてくれる刀鍛冶は、皆無といっても過言ではありません。残念ながら非常に難しいと思います。

Q.外国人は刀鍛冶になれますか?

A.外国人が制度的に刀鍛冶になれないわけではありません。ただし、外国人の方を弟子として、受け入れてくれる刀鍛冶は皆無といっても過言ではありません。また、言葉やビザの問題などもあります。非常に難しいと思います。

Q.刀を一振り作るにはどのくらいの経費がかかりますか?

A.おおよそ50万円から70万円です。
原材料の玉鋼:3~6万円
炭代:10~15万円
研代:25~40万円
ハバキ:5~10万円
鞘:6~10万円
刀袋:2000~5000円
製作承認申請:800円
登録:6300円
このほかに、光熱費やヤスリ・砥石などの工具代がかかります。

Q.独立して、仕事場を建てるには、どのぐらいの費用がかかりますか?

A.3間×4間の建物を新築し、機械などの道具を最低限一式揃えると1000万円程度です。
建築費を抑えたり、中古の機械を揃えることにより節約する事は可能です。

Q.住宅地でも開業することはできますか?

A.大きな音がしますし、炭のほこりなどがかなり飛散しますので、周辺住民の方の理解がないと不可能でしょう。

Q.修業先を紹介してくれますか?

A.後継者育成支援委員会では、研修会に参加→体験入門→入門先の紹介→入門先との面接、の流れになっています。紹介はいたしますが、入門できるかどうかは、あくまでも入門先と本人との交渉であり、非常に狭き門だと覚悟してください。受験や就職と同じように、希望すれば誰でも入門できるわけではなく、「優秀な人材」だけが入門できるとお考えください。


全日本刀匠会 後継者育成支援委員会
〒700-0904 岡山県岡山市北区柳町2-1-1
Tel:086-227-5721(刀匠会事業部)
Mail:info@tousyoukai.jp(刀匠会事業部)

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